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猫の去勢手術

去勢手術とはオスの睾丸である左右の精巣を摘出します。全身麻酔で行なわれます。 当院では去勢手術は日帰り手術です。(予約制)

手術は少なからず体に負担がかかります。 その負担を考えると去勢手術を希望されない飼い主様もいらっしゃると思います。 しかし去勢手術を行うことによって、生殖器に関連する病気の予防、問題行動の抑制などの メリットがあります。

・メリット
1.望まれない妊娠の防止
2.病気の予防効果
■ 精巣腫瘍(特に通常の場所である陰嚢内にない場合はそのリスクが増加します)
3.尿スプレー、オス特有の尿臭の減少、喧嘩や外に出たがる行動なども減少します
→より一層、一緒に暮らしやすくなります。

・デメリット
1.手術自体のデメリット
全身麻酔のリスク。諸臓器への影響などによりごく稀に予期せぬ事態を招くことがあります。出来る限り麻酔リスクを避けるため 手術前の血液検査を行い、全身状態を確認しています。

2.肥満になりやすい?
術後、発情行動がなくなるため必要とするエネルギー量が減ったり、食欲が増すこともあるため 太りやすくなる子もいます。そういった場合は去勢手術した子用のフードへの変更により体重をコントロールすることは可能です。

・いつからできますか?
体がある程度成長した6ヶ月齢以降での手術をお薦めしています。高齢になってからでも手術は可能ですが、病気になっていたり 体の機能が低下していたりしリスクが高くなるので、なるべく早期に手術することをお薦めします。

以前は動物は痛みに強いと言われていましたが、現在では動物も当然痛みを感じていると言われるようになってきました。

当院では手術の痛み・不安をできるだけ少なくするために複数の鎮痛薬の併用、炎症を軽減させるための手術を心がけています。

猫の避妊手術

避妊手術とは左右の卵巣および子宮を摘出します。全身麻酔で行なわれます。 当院では避妊手術は1泊入院となります。(予約制)

手術は少なからず体に負担がかかります。 その負担を考えると避妊手術を希望されない飼い主様もいらっしゃると思います。 しかし避妊手術を行うことによって、生殖器に関連する病気の予防、問題行動の抑制などのメリットがあります。

・メリット
1.望まれない妊娠の防止
2.病気の予防効果
■ 乳腺腫瘍(雌猫では皮膚腫瘍、リンパ系腫瘍についで発生率が高い腫瘍で乳腺腫瘍の約80%が悪性と報告されています)
■ 子宮蓄膿症(子宮内に膿がたまり死亡率の高い病気です)
若齢期に避妊手術をすることにより、乳腺腫瘍の発生率が低下するという文献もあります。
3.発情に伴う症状の軽減
発情時に外に出たがる、異常に鳴くなどが改善されます。

・デメリット
1.手術自体のデメリット
全身麻酔のリスク。諸臓器への影響などによりごく稀に予期せぬ事態を招くことがあります。出来る限り麻酔リスクを避けるため 手術前の血液検査を行い、全身状態を確認しています。

2.肥満になりやすい?
術後、発情行動がなくなるため必要とするエネルギー量が減ったり、食欲が増すこともあるため 太りやすくなる子もいます。そういった場合は避妊手術した子用のフードへの変更により体重をコントロールすることは可能です。

・いつからできますか?
体がある程度成長した6ヶ月齢以降での手術をお薦めしています。できれば前述の理由により1歳以前の手術が望ましいです。高齢になってからでも手術は可能ですが、病気になっていたり 体の機能が低下していたりしリスクが高くなるので、なるべく早期に手術することをお薦めします。

以前は動物は痛みに強いと言われていましたが、現在では動物も当然痛みを感じていると言われるようになってきました。

当院では手術の痛み・不安をできるだけ少なくするために複数の鎮痛薬の併用、炎症を軽減させるための手術を心がけています。

猫の避妊・去勢手術について
まとめ

猫の避妊・去勢手術

メス猫の避妊手術やオス猫の去勢手術は本来、 外へ行く猫や多頭飼育猫の繁殖を防ぐために行うものですが 室内飼いの単独飼育の猫にもさまざまなメリットがあります。

それでも避妊手術・去勢手術は全身麻酔が必要な手術なので心配ですよね? 避妊手術・去勢手術をする場合のメリットとデメリットについて 実際に知っておきたいことを解説していきます。

メス猫・避妊手術の場合

避妊手術は全身麻酔をかけてお腹を開け、卵巣および子宮を摘出する手術です。 当院では1泊入院の手術です。

メリット

・発情行動がなくなる
避妊手術をしていない猫で困るのが毎年の発情です。 性的な衝動から外に行きたくて夜中までずっと大きな声で鳴かれると飼い主である私達にもストレスになりますし、マンションなどの集合住宅では近所から苦情がきてしまうことも。

避妊手術によって卵巣を摘出するとメス猫の発情行動が起こらなくなります。 私達飼い主にとってもメリットですが、猫本人にとっても性的に満たされない欲求は動物のストレスになることがわかっているので避妊手術によって欲求不満の元になる発情が来なくなり、猫のストレス軽減にも役立ちます。

・生殖器系の病気予防
通常、避妊手術では卵巣と子宮を摘出します。 それにより卵巣腫瘍や子宮腫瘍、子宮蓄膿症などの病気を予防。 その他にも猫では腫瘍の中で3番目に発生の多い乳癌の予防効果があります。 報告によって様々ですが生後6ヶ月未満での避妊手術で約90%、1歳未満の手術で 約80%、発症率が少なくなるのです。

このことから避妊手術を受ける際のポイントは1歳未満に避妊手術を受けるということ。 できれば生後6ヶ月より若いうち(生後5ヶ月過ぎくらい)に受けるのが、乳癌の予防のためにも良いといえるでしょう。

オス猫・去勢手術

全身麻酔をかけて精巣を摘出する手術です。 当院では日帰り手術です。

メリット

・喧嘩やスプレー行動、徘徊がなくなることが多い
・オス猫特有のおしっこの臭いも改善します
・発生は比較的稀ですが精巣腫瘍の発生を防いでくれます

避妊手術・去勢手術のデメリット

・太りやすくなる
食欲の増加、代謝率の減少や性行動の減少などによって太りやすくなる猫が多いです。 カロリーを抑えたダイエット用のフードなどに変更し対策をとりましょう。

・麻酔関連の死亡
健康な猫に行う比較的短時間の手術とはいえ全身麻酔を必要としますので100%安全ということはありません。 基礎疾患のない健康な犬猫に手術を行う場合、ある報告では手術関連の死亡率は1万頭に5頭、約0.05%となっているので命に関わる確率は非常に低いもののようです。

まとめ

ここでは代表的なメリットとデメリットを解説してきましたが、避妊・去勢手術で得られる病気予防や発情行動関連のメリットは大きいと考えてよさそうです。
多頭飼育や外へ行く猫は過剰繁殖を防ぐために手術は必要ですよ。 猫の飼育状況や健康な動物に手術をすることの自分の考えを踏まえて避妊・去勢手術をするかどうかぜひ考えてあげてください。

猫のワクチン

ウイルスによる伝染病は治療が困難な場合が多く、予防が大切です。

子猫は母親譲りの免疫を持っている場合が多く、その時期のワクチン接種は効果があまり見られないことが多いです。 そのため生後2ヶ月頃から3~4週間隔で2~3回程度のワクチン接種が必要です。詳しくは当院までお問い合わせください。

ワクチン接種後はすぐに免疫力がつくわけではありませんので、2~3週間は他の猫との接触はお控えください。

成猫になったら1年に1回の追加接種または抗体検査が必要です。

ワクチン接種後の注意
ワクチン接種後は2~3日間は出来るだけ安静にして激しい運動やシャンプーなどは控えてください。 接種後まれに、急に具合が悪くなったり、顔が腫れたりすることがありますので、接種後はよく様子を観察してください。

混合ワクチンに含まれる各種伝染病の説明です。何種を接種するかなどは診察時にご相談ください。

猫ウイルス性鼻気管炎
ヘルペスウイルスによる感染症でクシャミ、咳、鼻水、結膜炎など風邪様の症状を起こします。

猫汎白血球減少症
パルボウイルスが原因で下痢、嘔吐などを起こし、死亡率の高い病気です。

猫白血病ウイルス感染症・猫エイズウイルス感染症
白血病やリンパ腫など血液のガン、貧血などを起こします。病気に対する抵抗力が弱くなるためいろいろな病気も併発しやすくなります。

猫の最新ワクチンプログラム

子猫や成猫を迎えたらワクチンをどうすればいいのか迷いますよね?
ワクチン接種については昔に比べると変わってきていることなどがありますので、最新のWSAVA(世界小動物獣医師会)のガイドラインに基づき日本でのワクチン接種について説明していきます。

猫の接種すべきワクチン3種

猫のワクチンで全ての猫が接種すべきなのは「猫汎白血球減少症ウイルス」「猫ヘルペスウイルス」「猫カリシウイルス」の3種類です。

ワクチンの種類としては他にも「猫白血病ウイルス」「クラミジア」「猫免疫不全ウイルス(猫エイズ)」がありますがこれらは飼育環境に応じて(外に行くのか?同居猫にエイズや白血病のキャリア猫がいるのか?)接種の必要性があればワクチンを打つという考え方です。

ワクチン接種スケジュール

生後2か月以降で1か月ごとに2~3回接種が基本です。打ち始めが早すぎたり、最後のワクチンが早すぎると母猫の母乳からの免疫が影響してワクチンの効果が弱くなるので注意が必要です。

1年後にもう1回追加接種して、その後は猫の飼育環境に応じて1年もしくは3年に1回接種していきます。

毎年接種が推奨されているのは次の3つ。「ペットホテルに預ける」「外へ行く」「多頭飼い」。それ以外では3年毎もしくはワクチンの効果を図る「抗体検査」を行い、ワクチン接種の必要性を決定します。ある報告では3年後のヘルペスウイルスのワクチン効果が不完全になっていた例もあるようなので、できれば抗体検査を行い、その結果によってワクチン接種をどうするべきか決めるのがいいでしょう。

ワクチンのデメリット

ワクチン注射部位肉腫:注射をした場所にガンができることがあります。発生率は0.01%以下と低いですが、発生することも考えて最近ではワクチンを接種する場所は後ろ足に打つことが多いようです。

アナフィラキシー:命にかかわることもある重篤なアレルギー反応です。国内での発生率は0.01%以下と稀です。

慢性腎臓病との関連:毎年のワクチン接種が慢性腎臓病の発生率を高めている可能性があるとする一部の報告があります。

まとめ

猫のワクチン接種はリスクの高い「ペットホテルに預ける」「外へ行く」「多頭飼い」はもちろん、完全室内飼いでもリスクは下がりますが、一緒に住んでいる人が外からウイルスを持ち込んでしまうため、ワクチン接種は必要です。

ただし、必要以上のワクチン接種は行わないほうが良いことは確かなので、自分の猫の飼育環境を考えたうえで接種の頻度を獣医師と相談して決めていくと良いでしょう。

猫のフィラリア症

犬でよく予防されているフィラリア症は猫にも感染することがわかっています。
猫のフィラリア症は診断が難しい病気ですが、札幌でも猫のフィラリア症の報告例が出てきています。

フィラリアはミクロフィラリアを持った蚊に吸血されることによって猫の体内に侵入し その後、体の中を成長しながら移動し、様々な血管、臓器にダメージを与えていきます。
猫のフィラリア症の一般的な症状は咳、呼吸困難、嘔吐、食欲不振、突然死などです。

蚊は屋外、屋内どちらにもおり、高層マンションでも人について入ってきますので 室内飼いの猫でも予防が大切です。
フィラリアの感染を防ぐには予防シーズン(札幌では6月から11月)に 毎月1回、背中に垂らすスポットタイプを投与するのがおすすめです。

慢性腎不全の治療管理

腎機能の低下に伴って、飲水量、排尿量の増加、食欲不振、体重減少、元気低下、嘔吐、口臭などがみられるようになります。
猫は腎機能が低下していく例が多く、一度低下した腎機能は回復しないため、できるだけ早期に腎機能の低下を発見していくことが大切です。

従来から測定されているクレアチニンという血液検査項目は腎機能の75%程度が失われてから異常値を示すようになるという問題がありましたが 新しく検査できるようになった血液検査項目「SDMA」は腎機能が40%程度失われると異常値を示すといわれており、より早期に腎機能低下を検出できるようになりました。

そのためSDMAを含めた血液検査、尿検査、エコー検査などの健康診断を5~6歳以降の中年期の犬猫は1年に2回程度行うことをおすすめします。

当院ではIRISのステージ分類を基本に、食事療法、吸着剤のほか、腎機能の悪化因子である尿蛋白の漏出を抑える治療や 2017年に新しく猫用として発売された腎臓病の進行を抑える「ラプロス」の使用など、動物と飼い主様の状況や希望を踏まえ、治療に過度なストレスが加わらないよう考慮し、 飼い主様と相談しながら治療方法を決定しています。

新しい試みとしては腎不全の治療、維持にオゾン療法をご提案しています。

慢性腎不全|早期発見のための初期症状と治療法

中高齢猫に発生が多い慢性腎不全・慢性腎臓病の早期発見のためにできることはあるのでしょうか?6歳以上の中高齢猫に腎不全患者は多いため他人事ではありません。慢性腎不全・慢性腎臓病の猫の寿命を延ばすために必要な早期発見について、そして治療法についても解説していきます。

猫の慢性腎不全・慢性腎臓病の原因

犬に比べ猫では中高齢になると加齢に伴い慢性腎不全の発症が多いですが、その理由についてはっきりしていません。 急性腎不全後に慢性腎不全に移行したり、多発性腎嚢胞などの腎臓病の進行によって慢性腎不全になることもあります。

早期発見のための初期症状

腎機能が低下すると初めに飲水量が増え、おしっこの量が増え、尿の色が薄くなり、おしっこの臭いも薄くなってきます。 自宅で気付く初期症状としてはこのあたりでしょう。
ただし腎臓の尿を濃縮する能力が落ち始めたこの段階ではすでに正常な腎機能の約60%が失われています。
その後、食欲が落ち始め、痩せてきたり、毛並みが悪くなる、吐くことが増えるなど、どの病気でも起こりえる症状が続いてきます。

早期発見のためにどうすればいい?

6歳以上の中年期の猫は1年に1回、10歳以上の高齢猫では1年に2回ほど動物病院で血液検査、尿検査、エコー検査を受けて腎臓の異常がないかどうか調べてもらうことをおすすめします。

ただし、通常の腎臓の血液検査項目である尿素窒素やクレアチニンは腎機能が約75%失われてから数値の上昇がみられるため、健康診断としてはやや力不足です。

最近ではSDMAという新しい腎機能の血液検査項目があり、この数値は腎機能が約40%失われた段階で異常値を示してくれるため、健康診断ではこの項目も一緒に測定するほうが良いでしょう。

慢性腎不全の治療法

腎機能悪化の抑制
新薬「ラプロス」が腎臓に作用して猫の腎臓病の進行を遅らせる効果がみられる薬です。錠剤が小さいため薬を飲ませづらい猫でも比較的投与しやすいです。

高血圧の治療
腎臓病の猫では高血圧のことが多くみられます。血圧を正常に保つことによって腎機能を維持します。さまざまな種類の内服薬があります。その子にあった効果のある薬を選ぶことができます。

タンパク漏出の抑制
尿中にタンパク質が過剰に漏れ出ていると、それが腎不全の悪化要因になります。 そのため1~3か月毎など定期的に動物病院で尿検査を実施してタンパクの漏出がないか調べたほうが良いでしょう。 もし尿中にタンパクの漏出がみられる場合は内服薬の投与で治療していきます。これらの治療薬はフレーバーのついた錠剤や飲みやすい液体の薬があるため比較的毎日の投与がしやすいです。

腎臓病療法食
腎機能の悪化が見つかった段階から腎臓病用に調整された療法食を与えます。 腎不全用の療法食を与えることにより、腎不全の悪化、尿毒症の発生時期を遅らせることが分かっています。 動物病院で取り扱いのあるペットフードメーカー各社が猫の腎臓病向けの療法食を販売しています。 詳しくは当院までご相談ください。

活性炭や吸着剤 腎臓が悪くなると、腎臓機能の悪化要因でもある老廃物やリンが体にたまっていきます。 活性炭や吸着作用のあるサプリメントを投与してリンや老廃物を吸着し、便とともに体の外に排出していく必要があります。

猫の慢性腎不全まとめ

腎機能は一度悪化すると治療で元に戻してあげることができません。 そのため早期発見が長生きのための秘訣です。 猫の飲水量や尿の様子などのちょっとした変化に気づいてあげること、定期的な健康診断を動物病院で受けることがとても大切です。

乳腺腫瘍

猫の乳腺腫瘍は全ての腫瘍の中で3番目に多く発生します。 猫では乳腺腫瘍のほとんどが悪性です。
避妊していない猫は1回目の発情後に避妊手術を行った猫に比べて発生リスクが7倍増加するため 乳腺腫瘍の予防には早期の避妊手術が有効です。

猫の乳腺癌は侵襲性が強く、しこりを発見したときには既に転移していることもあります。

組織生検は通常行いません。
乳腺の細胞診は良悪の判定が困難ですが 腫瘍性かそうでないかの判断のために実施することはあります。 また腫大したリンパ節への転移の確認のために細胞診を実施します。

治療は一般的に外科的摘出です。
摘出する方法は様々ありますが(腫瘤切除、局所乳腺切除など) 猫では悪性のことがほとんどのため、通常、根治を目指し片側乳腺全摘出を行うことが多いです。

猫では術後の化学療法としてドキソルビシンの有効性が報告されています。

猫の乳腺腫瘍は悪性度が高く、局所再発や転移も多いですが 腫瘍をそのままにしておくと自壊し感染を起こし、悪臭を放ったり 本人が気にして舐めてさらに悪化したりと生活の質が悪化します。

大きなしこりがあるが高齢で手術を実施するのを避けたい場合に 腫瘍の自壊による生活の質の悪化を防ぐため、短時間、低侵襲の局所摘出を実施することも 可能です。

胸にしこりを見つけたら、小さいうちにまず動物病院へ相談をお勧めします。

便秘

中高齢の猫ちゃんでは、さまざまな要因によって数日間便が出なかったり、ウンチがとても硬い、排便時に長い間いきんでいるなど便秘に悩まされることが増えていきます。 そのまま慢性化してしまうと動物病院で浣腸などの処置が定期的に必要になってしまうことも。 便秘の原因についてと獣医師がおすすめする便秘の対処法について解説します。

主な便秘の原因
1. 環境の変化(引越しや部屋の模様替え、新しい動物のお迎え)、トイレの汚れ、猫の数に比べトイレの数が少ない(猫の数プラス1個のトイレが必要です)など
2. おしりの痛み、関節炎や麻痺など排便姿勢をとるのが難しい状態
3. 過剰な毛玉、消化の難しい骨やプラスチック、ゴムなどの異物
4. 脱水を引き起こす腎不全やその他内臓の病気
5. 会陰ヘルニアや腸の中に腫瘍や腫れがあったり、お腹の中の腫瘍や大きなしこりが腸を圧迫して出ずらいことも

トイレなどの環境の問題や加齢による影響、もしくは猫の病気からくるものだったり便秘の原因はさまざま。 まずは動物病院を受診して、いろいろな検査によって原因を探る必要があります。

すぐできる便秘の解消法2つ

1. 乳酸菌などの腸内の善玉菌を増やすサプリメントを与える
腸内の環境を整えることによって、便の状態を整え、排便を促してくれます。

2. 水溶性(可溶性)繊維を含んだキャットフードに切り替える
腸の動きを促し、便の水分量を増やして便秘を改善してくれます。

ポイントは水溶性繊維。
サツマイモなどに多く含まれる不溶性繊維は便のかさを増やして(うんちを大きくして)腸の動きを促して便秘を解消させるものです。 サツマイモなどの不溶性繊維は状態によってはさらに便秘を悪化させる場合があるので注意が必要です。

関節炎・症状

猫ちゃんは痛みを隠すので、実はわかりやすく足を上げたり、かばって歩くことは少ないって知っていましたか?

猫ちゃんの関節炎、慢性的な痛みのサイン
1.爪とぎをしなくなった
2.爪が太くなっている
3.高いところに登らない、ジャンプしなくなった
4.気性が荒くなった、怒りっぽくなった
5.グルーミング、毛づくろいをしなくなった(毛玉ができるようになった)
6.じゃれなくなった
7.特定の場所を異常になめる

実は犬のような足を上げる、かばう、引きずるなどのわかりやすい症状は猫ではほとんど見られないんです。 そのかわり最近何となくいつもと違うな?高齢だからかな?といったわずかな変化しかないことが多いので注意が必要です。

関節炎は知らないうちに多くの猫ちゃんが苦しんでいて、5歳以上の猫では実に70%、11歳以上では94%が変形性関節症をわずらい関節炎を起こしていることがわかっています。

特に最近人気の折れ耳のスコティッシュ・フォールドは遺伝的な関節の変形「骨軟骨異形成症」を発症することが多いのでこれらの慢性的な痛み、関節炎の症状には注意が必要です。

動物病院での関節炎の治療

関節炎を完治させることは難しく、炎症を抑え痛みをやわらげる内服薬や注射、レーザー治療、関節炎や筋肉の痛みに効果のある漢方薬などが主な治療法です。
自宅でできるものとしては関節の炎症を抑える効果、関節軟骨の保護、再生を促すサプリメントを毎日飲ませるのも効果的です。

当てはまる症状がありましたら当院までご相談ください。

甲状腺機能亢進症

甲状腺の腫瘍、過形成により甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることによって発症します。8歳以上の猫の5%前後が甲状腺機能亢進症にかかると言われている、比較的発生が多い病気です。

甲状腺機能亢進症の症状

痩せてくる、元気がなくなる、食欲低下、嘔吐、下痢、多飲多尿、多食、異常な活発さ、呼吸が速いなど様々な症状がみられます。 一見、年齢のわりに過剰に元気が良いことがあるため、病気と思わないこともあるので注意が必要です。

診断

血液検査で総サイロキシン(T4)を測定し、基準値より高値でかつ、甲状腺機能亢進症と考えられる症状がみられる場合に診断します。

治療

食事療法、抗甲状腺薬による内科療法、外科手術による甲状腺摘出があります。 まずは食事療法と内科治療によって甲状腺ホルモンを抑え体調を安定化させることが重要です。 その後、年齢や心臓、腎臓などの機能、抗甲状腺薬による副作用などを考慮して手術の適否を選択していきます。

抗甲状腺薬の投与によって効果が見られるまでに1~2週間ほど時間がかかります。 甲状腺機能亢進症の症状は次第に緩和され、減少していた体重も増えていきます。

抗甲状腺薬の副作用は食欲不振、嘔吐、下痢、皮膚炎、白血球減少、血小板減少などがあります。 そのため内科治療中は定期的に血液検査を行い副作用の確認をしていきます。

食事療法では甲状腺ホルモンの元になるヨウ素を制限した療法食を与えることによって 過剰な甲状腺ホルモンを抑えていく治療法です。 ヨウ素制限食の効果が非常にある場合は食事療法のみで治療がうまくいくこともあります。

甲状腺機能亢進症の治療で腎不全が悪化することも

甲状腺機能亢進症の猫では腎臓への過剰な血流により、腎機能の低下があっても血液検査でそれらが隠されてしまっていることがあります。 内科治療によって腎臓の血流が正常化すると、腎機能の低下が現れることがあり、その状態によっては甲状腺機能亢進症の治療を中断する必要があることも。

分かりやすく言うと甲状腺機能亢進症の治療によって正常な腎臓の機能が悪化するわけではありませんがもともと腎機能の低下がある場合は治療によって腎不全の症状が出てくることもありますということです。

甲状腺機能亢進症まとめ

甲状腺機能亢進症は8歳以上の中高齢の猫で多い病気で主に痩せてきたり、飲水量が増える、嘔吐や下痢が増える、何だか異常に元気がある、でも痩せてくるなどの症状を引き起こします。 代謝が活発になりすぎるため放っておくと体がどんどん消耗していきます。

中年期以降の猫ちゃんは半年から1年に1回程度の定期的な健康診断で甲状腺ホルモンも測定していくと早期発見できます。 一度、動物病院で調べてもらうことをお勧めします。