フェレットの全身性コロナウイルス感染症はFerret Systemic Coronavirus(FRSCV)によって引き起こされる感染症で猫伝染性腹膜炎(FIP)のドライタイプと同様に全身に肉芽腫性炎症を起こす命に関わる病気です。
フェレットの全身性コロナウイルス感染症は生存期間中央値3ヶ月と報告されており、従来はストロイドを中心とした治療が主で症状の緩和が治療の目的でした。 猫のFIP治療に有効な抗ウイルス薬モルヌピラビルがフェレットの全身性コロナウイルス感染症への有効性が報告されてきており、当院でも使用例が増えてきています。
フェレットの全身性コロナウイルス感染症は元気、食欲の低下、下痢嘔吐などの消化器症状が主にみられ、発症した場合は致死率100%と言われます。
肉芽腫性の腫瘤は肝臓、腎臓、脾臓、肺、腸間膜リンパ節などにみられ、リンパ節腫大、脾臓の蜂巣状変化などリンパ腫との鑑別が重要な疾患でもあります。
診断には腫瘤の病理組織検査が必要ですが、そのためには麻酔や開腹手術を必要とするため状態の悪いフェレットには負担が大きく、臨床症状、腫瘤の細胞診、糞便のコロナウイルスPCR検査から総合的に臨床診断をすることも多いです。
フェレットのコロナウイルス関連疾患の薬用量は季節性インフルエンザは2.3mg/kg、SARSは7mg/kg、COVID-19は5mg/kgとされています。
全身性コロナウイルス感染症への投与量はまだ確定はされていませんが、猫のFIPへの薬用量や投与期間(10-20mg/kg BID投与84日間)を参考に投与を行なっています。
モルヌピラビルの副作用としてフェレットでは下痢、嘔吐が比較的みられる印象です。 猫では脱毛、耳の折れ、皮膚の乾燥、白血球減少などの骨髄抑制が報告されています。
フェレットの全身性コロナウイルス感染症へのモルヌピラビル治療の有効率や治療期間、投与量などまだまだ分かっていないことは多いですが、従来は治療困難だった病気への治療法が新しく見出されたのは素晴らしいことです。
当院でもフェレットの全身性コロナウイルス感染症のモルヌピラビルによる治療を行っていますので、北海道、札幌でフェレットの治療にお困りの場合は札幌市東区のあつき動物病院までご相談ください。



