札幌市東区でフェレットの診療を専門的に行っています。あつき動物病院です。
今回、フェレットの卵巣遺残の例が続いたため、ご紹介いたします。
一般的なフェレットは通常、ファームにて避妊手術を受けているため、メスのフェレットの外陰部が腫れているときは異常といえます。
フェレットで外陰部が腫れている場合は通常、副腎腫瘍が疑われますが、1歳やそれより若い年齢では卵巣遺残(避妊手術時に卵巣の一部を取り残してしまうなど)が疑われます。
診断のためにヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)を投与すると数日以内に外陰部の腫脹がおさまると言われていますが、経験上そこまで急激に治ったことはなく、緩やかにひいていく感じです。
卵巣は小さいためエコーでは見つけることが難しく、副腎腫瘍を除外するためにエコー検査を行います。
治療は試験開腹し、遺残卵巣を摘出します。
卵巣は通常の場所である腎臓の尾側に存在していることもあれば、全く関係のない場所にあることもあるので、お腹の中を上から下まで探す必要があります。
今回は通常の腎臓の尾側にある例と、腹膜に卵巣が付着している例がありました。
摘出した卵巣が疑われる組織は病理検査に提出し、卵巣であることを確認します。
無事、卵巣を摘出できた場合は1週間くらいすると、半分くらい外陰部の腫脹がひいてくれます。
フェレットでは交配をしないと発情が続いてしまい、高エストロゲン血症により命に関わる骨髄抑制が起こってしまいます。
フェレットで外陰部の腫脹が起こったら、様子を見ずに動物病院を受診するようにしましょう。
卵巣遺残と副腎腫瘍の治療方法は異なりますので、フェレットを専門的に診察しているあつき動物病院へご相談ください。