フェレットにおけるネコのFIPに類似した疾患の臨床病理の特徴

2018/12/4

札幌市東区あつき動物病院です。フェレットの文献情報です。

Vet Pathol. March 2008;45(2):236-246.
Clinicopathologic Features of a Systemic Coronavirus-Associated Disease Resembling Feline Infectious Peritonitis in the Domestic Ferret (Mustela putorius)

いまさらですが、以前からエキゾチックの専門誌でも話題になっていた、ネコのFIP様の疾患についての文献です。まれに肉芽腫性炎症による腫瘤ができている症例に出会います。

現状では進行性で予後不良の疾患と考えられますがステロイド治療によって症状を緩和することは可能です。

最近では糞便から全身性コロナウイルスをPCRで検出したり、腹腔内腫瘤を生検して病理検査を行うことも増えてきました。(2023年)

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2002年から2007年の間に全身性肉芽腫性炎症と診断した23頭のフェレットについて

発病時期は2-36ヶ月齢(平均11ヶ月齢)
一般的な臨床症状は食欲不振、体重減少、下痢、触知可能な腹腔内腫瘤
まれな所見としては後躯麻痺、中枢神経系症状、嘔吐、呼吸促迫
血液生化学検査では軽度貧血、血小板減少、高γグロブリン血症

化膿性肉芽腫性炎症が認められた臓器は
腸間膜・腹膜、リンパ節、脾臓、腎臓、肝臓、肺、小腸、膵臓、胃、脳、副腎

ネココロナウィルス抗体(FIPV3-70)抗体を用いた免疫染色において、全症例陽性を示した。
しかし5例の検体でELISAとPCRによりFIPを調べたが、全て陰性だった。
特殊染色ならびに抗体検査で細菌、抗酸菌、真菌、原虫、アリューシャン病ウィルスはいずれも陰性だった。

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札幌でフェレットのコロナウイルス感染症の診断、治療はあつき動物病院へご相談ください。