フェレットのインフルエンザ

2018/12/4

札幌市東区あつき動物病院です。冬のインフルエンザの時期ということでフェレットにおけるインフルエンザについてです。

ヒトのインフルエンザウイルス株の中にはフェレットに感染するものがあります。
飛沫の吸入によりフェレットからフェレット、ヒトからフェレット、またフェレットからヒトへの感染も起こりえます。

臨床症状としては感染から48時間以内に粘液漿液性鼻汁を伴ったくしゃみ、流涙、粘液膿性の眼脂。
短期間(48時間)の発熱や腸炎、元気食欲の低下などもみられます。
肺炎などの下部気道感染は稀で気管支炎でとどまることが多い。
しかし新生仔は重篤な症状、病態を示し下部呼吸器感染症にて死亡することが多いようです。15日齢のフェレットでは軽度の気道感染しか認められなかったという報告もあることから、ある程度成長した個体では抵抗力はあるようです。

診断は臨床徴候、ヒストリー、人用のインフルエンザ検査キットなどから行なうことが多いです。
フェレットにおいてはジステンパーとの鑑別が重要だと思います。症状としては皮膚病変、中枢症状の有無、発熱などの経過を見ていけば予後が極端に異なりますので鑑別は可能だと思いますが、確定診断の必要性があるときはさらに検査を行ないます。

治療は基本的には対症療法を行ないます。ウイルス量の低下が遅れるため、よほどの高熱でない限り鎮痛解熱剤の投与は行ないません。
7~14日間の経過を辿ることが多いですが成フェレットでの致死率は低いです。

フェレットに対するインフルエンザワクチンの接種は推奨されていません。人のウイルス抗原が多様でありウイルスに対して短期間しか免疫力が維持されないこと。人用のインフルエンザワクチンをフェレットに使うことの問題点などが挙げられます。

高病原性鳥H5N1インフルエンザウイルスについて。
実験的にはフェレットにおいても感染が成立し、ヒトから分離されたH5N1ウイルスは鳥から分離されたウイルスよりも哺乳動物に対して強毒であったと報告されている。

実際の臨床現場でフェレットのインフルエンザの治療にタミフルがどれほど使われているかはわかりませんが小児用のドライシロップも販売されており処方しやすいのは確かです。
しかし現在では詳細はわかっておりませんが、タミフル耐性の問題などもあり致死率の低いフェレットのインフルエンザに処方することの倫理面の問題も少なからずあると思います。

札幌でフェレットのインフルエンザの治療はあつき動物病院へご相談ください。