1歳フェレットの副腎腫瘍

2018/12/4

札幌市東区あつき動物病院です。フェレットの診療を専門的に行っています。今回は非常に若い副腎腫瘍のフェレットの例についてです。

フェレットの副腎腫瘍はとてもよく見られる病気のひとつです。
一般的には3歳頃から発生することが多く、中年期の病気と考えていいと思います。

今回、1歳前半で副腎の悪性腫瘍が見つかった例がありましたので記載しておきます。

中性化されたフェレットで外陰部が腫れてきた場合、中年期ではまず副腎疾患が疑われますが、1歳前後の若いフェレットで外陰部が腫れてきた場合、副腎疾患よりも卵巣遺残が考えられます。

今回の例も1歳になったばかりと若いことより、卵巣遺残を疑い、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンを投与しました。
もし卵巣遺残ならば通常、数日のうちに外陰部が縮小するのですが、今回はだいぶ後になってから縮小したもののすぐに腫れてきたため、残っている卵巣があるのではないかと考え試験開腹を行いました。

フェレットで卵巣が残っていると発情が繰り返されるため、交尾をしないかぎり発情が続いてしまいエストロジェン中毒により血液を造る骨髄が抑制されるため、命に関わります。

今回の手術では、遺残した卵巣組織は発見されず、かわりに左副腎が明らかに腫大していたため、それを切除したところ病理検査では副腎癌ということで悪性腫瘍でした。

一般的にはフェレットの副腎腫瘍は3歳以降のことが多いですが、このように若齢の場合でも起こりえるということを再認識しました。

避妊手術をしているフェレットで外陰部が腫れることは通常ありませんので、フェレットの外陰部が上の画像のようにぷっくり腫れている場合、様子は見ずに早めにフェレットを診れる動物病院へ連れて行ってあげてくださいね。

札幌でフェレットの副腎腫瘍の診断・治療はあつき動物病院へご相談ください。