フェレットの皮膚型リンパ腫

2018/12/4

札幌市東区あつき動物病院です。今回はフェレットの病気の紹介をします。

フェレットでは珍しい皮膚型リンパ腫の例です。

リンパ腫といえばフェレットでも非常に発生が多い病気です。
通常は全身のリンパ節の腫脹や腸の肥厚などが主にみられますが、皮膚型リンパ腫はその名の通り、皮膚にリンパ腫が発生します。

今回は他院からご紹介いただいた例ですが、初めは腹部に少しだけだった皮膚炎、潰瘍が徐々に全身に広がっていったようです。
抗生剤を種類を変えながら1か月近く投薬していたけれども全身に広がると共に全身状態も悪化していった模様です。

当院受診時には全身、特に粘膜付近にも湿疹、潰瘍がひどくあり痩せていました。
数種類の抗生剤投与をしていても改善がないことから単なる細菌性の皮膚炎ではなさそうです。
犬であれば天疱瘡も疑われそうな皮疹ですが、フェレットでは非常に稀です。
もっと前に診察をしていたらフェレットのジステンパーの皮膚炎も疑えますが、ここまでひどい例はそうはいません。

上記疾患の鑑別のために皮膚炎部分の細胞診を行いました。
すると炎症細胞もごくわずかにみられますが、そのほとんどが異常なリンパ球を疑う細胞群が多数採取されました。

この細胞診の結果から皮膚型リンパ腫が疑われます。
抗生剤を投与しているからか、細菌は検出されませんでした。
できれば皮膚生検も同時に行います。

皮膚型リンパ腫は通常治療に難治性で予後が悪いことが多い疾患です。
そのため早急に診断をつけていかなくてはいけません。

そもそもフェレットでは皮膚病自体が少ないこともあり、難治性の皮膚炎ではリンパ腫も鑑別診断リストの上位に入れておかなければいけないということでしょう。

札幌でフェレットの治療はあつき動物病院へご相談ください。他院からのご紹介・転院もお受けしています。