フェレットのリンパ腫

リンパ腫はフェレットに好発する腫瘍の1つで、病因はレトロウイルスが疑われているが未確定である。
一部では除草剤散布との関係が示唆されているがフェレットでは不明である。
症状は冒された臓器によって異なり全身のリンパ節の無痛性腫大、肝、脾腫大、食欲不振、体重減少、発熱、嘔吐、下痢、腹水、呼吸困難、多飲多尿など非特異的症状である。

発生部位としてはリンパ節の他に、縦隔、消化管、脾臓、肝臓、腎臓、皮膚などがある。
若齢では縦隔型が多く、急激な進行により多臓器浸潤やリンパ性白血病などもある。
中高齢では多中心型が多く、高分化型リンパ腫も多い。進行は緩慢でなかなか確定診断に至らないことが多い。
フェレットでは一部の獣医師によりステージ分類が提案されていますが現在、確立したステージ分類はありません。

スクリーニングの血液検査で、説明のつかない好中球増加症、腫瘍細胞の出現、骨髄への影響、高Ca血症、肝酵素の上昇、腎障害などがある場合は鑑別診断リストに加える必要があります。

臨床現場では血液検査と細胞診の結果(芽球比率30%以上)から診断することが多いですが、フェレットでは分化傾向がつよく成熟リンパ球が主体のものや形質細胞が多く見られるものもあり、過形成との鑑別が困難な場合は切除生検による病理組織診断を行ないます。

リンパ球数が3500/μL以上あるいは白血球百分比が60%以上の場合はリンパ腫を疑うとする文献があります。
フェレットではインスリノーマ、副腎疾患などでもリンパ球増加が起こるため注意が必要です。
腫瘍随伴症候群としての高カルシウム血症は少ないようです。

リンパ腫の治療法には化学療法、放射線療法がありますが通常、第一選択は化学療法です。
フェレットで行なわれる化学療法としてはサイクロフォスファマイド(エンドキサン)、ビンクリスチン(オンコビン)、プレドニゾロンを併用するCOPが主になります。
COPにL-アスパラギナーゼ(ロイナーゼ)やドキソルビシン(アドリアシン)を併用するCOP-LAやADM、L-Aspの2剤併用、低悪性度の高分化型にはクロラムブシル(レウケラン)-プレドニゾロンのような弱い薬剤を選択するといった方法も犬猫同様に行なっていますが、投与量などについては文献を参考にする以外、確立したものがないため経験的には猫の容量を選択することが多いです。
アドリアマイシン単独療法では猫同様、寛解率が悪いように感じます。

アメリカではタフツ大学の先生がフェレットのリンパ腫の新しい治療プロトコールとして皮下注射と経口投与のみの方法(プレドニゾロン、L-アスパラギナーゼ、サイクロフォスファマイド、シタラビン、メトトレキサート、クロラムブシル、プロカルバジンの多剤併用)を発表しています。フェレットでは留置血管が駄目になりやすいので良いかもしれません。

レスキュー療法としてロムスチン(CCNU)の使用が犬猫でも行なわれていますがフェレットでも最近、症例発表がなされています。

フェレットでの各化学療法の寛解率や寛解期間など発表されたものはなかなかありません。

臨床症状からリンパ腫が鑑別診断リストの上位にあがっているにもかかわらず通常の身体検査、血液検査、レントゲン、エコーなどでも異常が見られず確定診断まで時間のかかる、もしくは診断できない症例も多く経験します。
またフェレットでは腸炎、リンパ腫などによる消化管破裂で急激に状態の悪化する症例も比較的よく見られます。