気管虚脱の新しい内科治療法ー2023.10月追記

2023/10/19

札幌市東区のあつき動物病院です。ガァガァ大きな咳をすることが特徴的な気管虚脱についてです。

気管虚脱とは気管軟骨が扁平化して気管が狭くなり、咳が続いたり、重症化すると呼吸困難を引き起こす怖い病気です。

小型犬に比較的多く見られ、最初の受診理由はガチョウのような咳や長く続く咳が多いようです。

一般的な治療法は内科治療が主で、咳止めや気管支拡張剤、ステロイドなどが使用されますが、進行していくとこれらの治療では咳を抑えることが困難になり、気管虚脱だから咳はある程度仕方がないと考えるしかありませんでした。

外科治療としては気管内ステント法やPLLP法のような気管外プロテアーゼ法がありますが、手術を実施できる病院が少ないのが現状です。
当院でもPLLP法による手術の実施例はありますが、最近では大学にPLLPおよび気管内ステントを依頼することのほうが多いです。

気管虚脱の内科治療としてはそのような状況がずっと続いていましたが、数年前より気管虚脱の内科治療に新しい治療法が報告され始めました。それは気管虚脱の原因のひとつに気管軟骨の変性が関与していると考えられているため軟骨の修復をはかることで、症状の改善を期待するものです。

当院での治療例でも比較的高い治療反応が得られていて、頑固な咳が治まる例が多いようです。データとして集計をしておりませんが体感的には完全に咳が消失する例から咳症状が緩和される例までを含めると7割程度はあるように感じます。
気管の狭窄が改善したという他施設の報告もありますが、現状では咳などの症状の改善、気管狭窄の悪化防止を目的に新しい治療を行っています。

治療としては動物病院で週に1回、カルトロフェンベット注射(関節炎の治療薬となるため効能外使用になります)をする必要があるのでこまめな通院が必要になりますが、経過が良好な例では月1回程度の注射頻度に減らすことができるので比較的受けやすい気管虚脱の治療だと思われます。

あつき動物病院では気管虚脱の内科治療をカルトロフェンベット注、漢方を主体として行っていますが、良好な反応が得られています。

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